うさぴょん号発進せよ
トヲルの胸には、不安が渦を巻いていた。もし間に合わなかったら…、という考えが頭を過ぎる。

しかし直ぐにそれを打ち消すかのように、頭を振った。

(まだ…あと6時間もあるんだから。きっと大丈夫、だよね)

トヲルが不安を頭から追い出そうと必死になっていると、階段下の方から近付いてくる足音が聞こえてきた。当然、この場にいないビルホークのものである。

「ビル艦長、どうだった?」

ビルホーク愛用の帽子が下から見えた途端、ヴェイトは声を掛けた。

「ああ、機関部のほうは異常なしだったぜ。いつでも発進可能だ」

「そう。じゃあ私はこのことも含め、船長に報告するわね。今後の対策とか、いくらなんでも私の一存じゃ決められないものね」

ヴェイトはそう言うと急いで、既にいつもの定位置へ戻っている船長の元へ向かう。
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