うさぴょん号発進せよ
それを見送りながら、再び3人は歩き出す。

「ミレイユ、疲れてないか?」

暫くしてコウヅキが肩越しに、ミレイユを気遣うように話し掛けてきた。

「ううん、大丈夫だよ」

ミレイユがコウヅキに向かって笑いかける。疲れを見せないその笑顔に、コウヅキは一瞬安堵した表情を見せると、再び前を向いて歩き出した。

(コウヅキはミレイユのことを、本当に大事にしてるんだな)

いつも他人にはかなり攻撃的な態度をとっているのだが、ミレイユに対してだけは、優しい表情で接するのである。

トヲルには兄弟がいないので、それがどういうものなのかよく分からなかった。しかしこの1ヶ月あまりの間、ミレイユと一緒に過ごしているうちに、なんとなくコウヅキの気持ちも少しは分かるような気がしていた。

(でもミレイユって、僕のことを弟みたいに思っているんだよな)

そのことを思い出し、トヲルは溜息を吐く。

だがその瞬間、地の底から響いてくるような音がしてきた。

3人が反応する間もなく、上から何かが降りてくる。
< 261 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop