うさぴょん号発進せよ
それは降りてきたというより、寧ろ勢いよく落ちてきた。そして通路内全域に響き渡るような大きな音を立てると、目の前の路を完全に塞いだのだ。

落ちてきたのは隔壁だった。

通常それは火災発生など、緊急時に作動するものである。それがいきなり落ちてきたのだ。

突然のことに3人は一瞬唖然としたが、コウヅキが最初に駆け寄った。

「くそっ、なんでこんなモンが急に落ちてくるんだよ!」

文句を言いながらそれを叩いてみるが、案の定ビクともしない。

更にトヲルの背後からも、大きな音と地響きがしてきた。振り向くと後ろの通路にも、隔壁が下りている。

3人は完全に、出口を塞がれてしまったのだ。

トヲルは呆然と背後を見詰めていた。

しかしまたもや畳みかけるかのように、地鳴りがしてきた。3人の間に、緊張が走る。

今度は一体どの場所の隔壁が下りるというのだろうか。

トヲルの背中に、冷たいモノが走るような感覚を覚えた。
< 262 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop