うさぴょん号発進せよ
「分かった」

「!えっ!?」

「俺はオヤジを…、お前はミレイユを頼む」

自分に抱きついているミレイユを、トヲルの方へ渡しながら言った。

「コウヅキ、僕の言うことを信じるの!?」

「ああ。お前はこんなところで、冗談を言うような奴じゃないからな」

普段からトヲルのことを馬鹿にしている、コウヅキの言葉とは思えなかった。

「突破するタイミングだが」
真剣な表情のままで視線を逸らし、前を向く。

「ペルは自分が前へ出たら、それが合図だって言ってる」

「そうか、わかった」

コウヅキは前を向いたまま手早くタスクを起こすと、肩で支えていつでも移動できる体勢をとった。

「ミレイユ、大丈夫?」

ミレイユはトヲルの腕の中で目を瞑り、血の気の引いた顔で震えながら、しかしその声に無言で頷く。

と同時にトヲルは、自分が既に冷静さを取り戻していることに驚いていた。

両親があのような姿で、自分に迫ってきているのである。本来ならば半狂乱になったとしても不思議ではなかった。
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