それからの物語~続・サッカーボールと先輩とアタシ~
「万桜?」

旬磨先輩の声で我にかえる。

ただヒロ先輩の後ろ姿を見ていた。

段々と小さくなる姿。

そして笑顔になる『静佳さん』。

「どこか行こうか?ここから離れる?」

優しさがかえって辛い。

「…いいえ、待ってます。」

旬磨先輩が校門に寄り掛かる。

アタシも隣りに並ぶ。

何を話しているのか、そればかりが気になってしょうがない。

でも、並んでいるだろう二人を見る事は怖くて出来ないでいた。

「あの人の事、ヒロから聞いた?」

穏やかな口調が、何だか緊迫感を感じる。

「はい…。」

「ふうん。」

「なんなんだろうな、今さら。」

先輩、それアタシの心境です。

< 69 / 234 >

この作品をシェア

pagetop