紅き瞳に囚われて
「寄るな!!」

私は、風峪の足元にナイフを数本投げ付ける。

「涙南……」

風峪は悲しそうに唇を噛み締める。

「本当はこんな事したくねぇけど……」

風峪の緑色の目が深い緑に変わる。

「『体の力を抜け!!』」

風峪がそう言った瞬間、足元がふらついた。

「……音使い」

どうやら風峪は音、つまり声を使って相手を操る能力らしい。
少しでも気を抜いたら、操られるだろう。

ヴァンパイアの能力は自分と同等、それ以上の力を持つ相手には聞き難い。

どうしたものか……。

回りを見渡すと、数人しか立っておらず、後の人たちは床に倒れていた。
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