紅き瞳に囚われて
漂ってくる、血の匂い。

−−−ドクンッ……。


その匂いに私の体は敏感に反応する。



−−−血ガ飲ミタイ−−−。



「ッ!!」

眠っていた本能が呼び起こされる。

「涙南、どうした?」

漣は私の異変に気付き、近づいて来る。

「近づくなっ、漣!!」

……喉ガ渇イタ。血ヲ沢山チョウダイ−−−。

「涙南、おいっ!?」


近づいて来た、漣。

私は漣の腕に、勢いよく噛み付いた。

……−−ジュル、ズズズッ。

……美味シイ。モット、飲ミタイ。


「涙南、それ以上は駄目だ」

私は、漣のその一言で我にかえった。
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