紅き瞳に囚われて
「一応、血族だし。それに龍我は自分の物を盗られるのを嫌うからな」

……そうだ。私は、漣 龍我の所有物。

主であるあいつを私は殺す事ができるのだろうか……。

さっきも、漣 龍我の残像を見たとき、体が動かなかった。

そんな私に奴を殺すことができるのだろうか……。





「お前、散らかしすぎ。花瓶、割れてるし……」

漣はそう言って、花瓶の破片を拾い始めた。

「…ごめん」

一応、謝っておく。悪いことをしたからな。

「別にいいよ。そんなに高い花瓶じゃねぇし。……いッ」

どうやら、漣は指を切ったみたいだ。
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