恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


こんなことなら、教室で出来るものにすれば良かった……。


そう後悔していると、みんなが求めている男性の声が聞こえてた。



「どうだ、進んでるか?」



ゆっくりと歩いてくる鈴木先生。


先生の顔は、何故か夏なのにとても涼しげに見えた。




「先生~!!」


その場にいたみんなが、救いを求めるように先生に近づいた。


「なっなんだ? どうしたんだ?」



みんなの話で状況を知った先生は、

「そうか、そうか」とみんなの頭を撫でて、優しく微笑んだ。




こんな時、男の鈴木先生が担任で良かったって心から思える。



ネクタイを外して、力強く金槌で釘を打ち始めた先生。


何度打っても刺さらなかった釘が、あっという間に板の中へと消えていく。


それを見ているだけで、なんだか涼しくなったような気がした。






< 201 / 712 >

この作品をシェア

pagetop