恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
こんなことなら、教室で出来るものにすれば良かった……。
そう後悔していると、みんなが求めている男性の声が聞こえてた。
「どうだ、進んでるか?」
ゆっくりと歩いてくる鈴木先生。
先生の顔は、何故か夏なのにとても涼しげに見えた。
「先生~!!」
その場にいたみんなが、救いを求めるように先生に近づいた。
「なっなんだ? どうしたんだ?」
みんなの話で状況を知った先生は、
「そうか、そうか」とみんなの頭を撫でて、優しく微笑んだ。
こんな時、男の鈴木先生が担任で良かったって心から思える。
ネクタイを外して、力強く金槌で釘を打ち始めた先生。
何度打っても刺さらなかった釘が、あっという間に板の中へと消えていく。
それを見ているだけで、なんだか涼しくなったような気がした。