恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「一緒に来い」


私に視線を向けて言った先生は、突然スタスタと体育館の方へ歩きはじめた。


「えっ、私?」


振り返らない先生の背中を追いかけた私は、先生と一緒に体育館の教官室に入った。




「確か、ここに……」


誰もいなかった教官室で、先生が机の引き出しの中を覗き込む。


私は黙って、先生の後ろに立っていた。



「あった!」


先生が両膝を床につけて机の奥から引っ張り出した袋には、たくさんの釘が入っていた。


「先生、どうしてこんなにたくさん持ってるの?」

「俺の趣味は日曜大工だから」


誇らしげに言いながら、先生は釘が入った袋を私にくれた。



先生と大工かぁ……。

どうりであんなに上手なわけだ。


「ありがとうございます。これがあれば予算内で出来そう」



話しながら教官室を出ようとした私に、鈴木先生が声をかけた。






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