恋 時 計 ~彼はおまわりさん~


拓也くんのもとへ向かう智子の瞳は、潤んだままだった。


だけど、その瞳の奥には強さがあるように見えた。

勇気という名の強い思い。




私は智子に何も言えなかった。


いろんな言葉を頭に浮かべてみたけど、どれも安易に思えて怖くて口に出来なかったのに、

おまわりさんのストレートな言葉が智子の心を動かした。



おまわりさんの言葉には、優しさと誠実な思いが詰まってるから?


他の誰かが言ったら冷たく感じちゃうような言葉ばかりだったのに、おまわりさんが口にすると温かく感じた。





「さっ、洗っちゃおうか」


おまわりさんの言葉に、私は微笑みながら頷いた。




ねぇ、おまわりさん


おまわりさんは不思議な人だね。




どんどん好きになっていくよ。



どんどん好きになってく……。








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