恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「美樹、あれ見て……」
「ん?」
おまわりさんの視線の先を見上げると、そこには桜の木があった。
桜の木の枝に積もってる雪が、風に吹かれ白い粉となって舞い上がる。
「なんだか桜の花が咲き散ってるみたいだな」
「うん……。綺麗だね」
おまわりさんと見上げている桜の木。
私は冷たい風に頬を撫でられながら思い出していた。
おまわりさんと初めて会った日のことを……。
あの日、お父さんに叱られながら目を覚ました私は、久しぶりに窓から外を見たんだった。
外の世界は眩しくて
眩しすぎて私は一度瞼を閉じてしまった。
だけど、私はもう一度瞼を開けたんだ。
おまわりさんと出逢うために……。