恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
昨日からの出来事を話した私は、目の前におまわりさんがいるかのように胸がときめいていた。
「じゃあ、おまわりさんの名前が聞けたんだね」
「うん」
「他には?」
「え?」
「まさか、携帯番号聞かなかったの?」
「うん」
笑顔で答えた私の前で、呆れたように息を吐いた智子。
そんなの無理だよ~。
ていうか、無理でしょ? 携帯番号聞くなんて……。
だって相手はおまわりさん。
おまわりさんにとっては、お仕事絡みで私に挨拶しただけだもん。
けれど、いつも『恋は前進するのみ』の智子には、そんな言い訳は通用しない。
「美樹、あんたそんなんだからいつまで経ってもおまわりさんに接近できないんだよ」
でた~。智子が毎回私に言うセリフ。
「わかってるよ……」
「ほんとにわかってる? このままだとおまわりさん捕られちゃうよ?」
え……?
智子の言葉で胸の中が騒いだ。