恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「俺、行くね」
「え……?」
行くって……
ここから離れるってこと?
私の傍から居なくなるってこと……?
自然とおまわりさんの手を握っている手に力が加わった。
「ごめんな、傍に居てやれなくて。
けど、これが『おまわりさん』なんだ」
おまわりさんはそっと私の手を離し、涙の跡が残る頬を擦ってくれた。
「うん……わかった。
私、絶対信じてるから。
お父さんが助かること、
おまわりさんが犯人を捕まえること」
「任せとけ」
おまわりさんは私の頭をクシャッと撫でた後、
お母さんとおばあちゃんに頭を下げてその場を去って行った。
おまわりさんの背中は、
まるでお父さんのようで……
強くて
大きくて
愛おしかった……。