恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

願う思い、離れる時間




年が明けて数日が経った頃、

お父さんの容態は落ち着いた。


けど、意識は戻らず……

私たち家族は不安な思いのまま過ごしていた。



「お母さん、少し家で休んだ方がいいよ」

「大丈夫よ。お母さん体力だけは自信あるんだから」



お父さんに付きっきりのお母さんは笑顔でそう言ったけど、その頬は見るからにやつれてて、疲れが表れている。



「無理しないでね」


私は一言だけ伝え、お母さんに微笑んだ。



これ以上は言えない。


だって、意識がなくてもお父さんの傍にいたいって気持ち、わかるから……。


それに、もし離れてる間に容体が急変したら……

時々そんな最悪な状況が頭を過り、離れている時間の方が辛いっていうことも。




「飲みもの買ってくるね」


私は財布だけを手に持ち、売店に向かった。





< 401 / 712 >

この作品をシェア

pagetop