恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



おまわりさんは、勤務日以外は毎日病院に来てくれてた。


けど、いつも短時間。

お父さんの様子を見て、待合室でジュースを一本飲んだら帰ってしまう。



おまわりさんは、具体的なことは教えてくれないけど、今回の事件のことを色々と調べてくれていた。


お父さんの容体が危機にあったにも関わらず病院から離れたのもそのためだった。




おまわりさん、

傍に居なくても、私はおまわりさんの強さを感じてるよ。


おまわりさんの優しさを、いつも感じてるよ。






売店でジュースを買って病室に戻ろうとした時、おばあちゃんの声がした。


「美樹ちゃん」


「あ、おばあちゃん。今来たの?」

「ええ。お母さん、まだお昼ごはん食べてないかね?
みんなで食べようと思ってお弁当作ってきたんだよ」



おばあちゃんの右手には、風呂敷に包まれたお弁当。

なんだかとても重たそうで、きっと私が家を出た後すぐに頑張って作ったんだろうな……て思った。



「ありがとう。
お母さんは朝から何も食べてないみたいだったよ」

「そう……やっぱり……。
美樹ちゃんは? 病院に居てもちゃんとご飯食べてるの?」

「うん。私は大丈夫だよ。
でも、今日はまだ食べてなかったし、すごく嬉しいよ」



おばあちゃんの手からお弁当を受け取ると、ズシッという重さが手の平に加わった。


おばあちゃん、これ……

三人分のお弁当じゃないよ。


家族四人分のお弁当が入ってるよ……。







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