恋 時 計 ~彼はおまわりさん~



「送ってくれてありがとう」


「じゃあ、元気出せよ」


「うん。ありがとう」




家まで送ってもらった私は、一哉の姿が見えなくなるまで見送っていた。


少しずつ小さくなっていく一哉の背中に、温かい優しさを感じる。




家の玄関に向かおうとした時、交番が目に止まった。



あの噂は、デタラメだよね……

だって、こんな身近なところに親切な警察官がいる。


浅野さんや……おまわりさんのような、人のために一生懸命働いてくれてる人たちがいる。


だから、大丈夫。


みんな、事件を解決するため、被害を受けた人たちのために頑張ってくれてるはず……。




知らず知らずのうちに、じっと見つめてしまっていた小さな交番。


交番の窓から零れている光が、私の胸の中を熱くしていた。










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