恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

ネックレス




「ただいま……」


初めての朝帰り。

いつになく小さな声の私を迎えてくれる人は誰もいなかった。


テーブルには、お母さんの字で≪病院に居ます≫と書いてある置き手紙。


そっか……。
二人ともお父さんのところに行ってるんだね。


安堵と共に小さな溜め息が零れた。


実は結構緊張してたんだ。

お母さんたちに何て言い訳しようって。




私はゆっくりとシャワーを浴び、お気に入りのシャツとデニムのスカートを穿いた。


夕方に一哉と会うから、やっぱり少しはお洒落しておかなくちゃ。



今朝のほんの少しの孤独感を消すかのように、私は念入りにお化粧をして家を出た。






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