恋 時 計 ~彼はおまわりさん~
「何かあったのか? 電話にも出ないし、何度呼んでも気づかなかったし……」
心配そうに私の顔を覗き込む一哉の視線と手の温もりに、心が青ざめた。
私……最低だ。
一哉がいるのに、おまわりさんを追いかけるなんて……。
猛スピードで乗っている自電車が塀に直撃したような衝撃に襲われる。
「どうした? 泣いてたのか……?」
涙の跡を親指で擦った一哉の優しさに、心が押し潰された。
「ごめ、んなさい……」
「美樹?」
「ごめんなさい……」
ただ謝る言葉しか口に出来なくて……。
それが余計に一哉を困らせているのに、私はそのまま泣き崩れた。