恋 時 計 ~彼はおまわりさん~

隠されていた真実




「宮本と私は、美樹さんのお父さんが追い詰めた犯人を追ってるの」


「あの麻薬密売の……?」



名取さんは深く頷いた後、言葉を続けた。



「宮本と初めて会ったのは、青木警視長が爆破に巻き込まれた後だった。
部署が違うのに必死に犯人の形跡を探してる彼を見て、私から声をかけたの。その時に、彼と美樹さん、青木警視長の関係を知ったのよ」




あの日、私を置いて病院から出ていったおまわりさんは、現場に向かってたんだ……。




「この密売グループは、何度も追い詰めてるのに逃げられてる。だから私は、警察関係者とそのグループに繋がりがあるんじゃないかと思ったわ」



やっぱりあの噂は本当だったんだ……。




「それを踏まえて捜査を進めようとした時、幹部が妙な動きをして……なかなか捜査が進まなくなった」


「どうして、幹部が……」


「たぶん、私の考えが的を得てたから。だから、不祥事を隠すために動いたのよ。
密売グループの動きが、あれっきり何もないことを良いことにね……」


「そんな……」




お父さんや同遼たちがあんな目に遭ってるのに、不祥事を隠すために捜査の邪魔をするなんて……。







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