**confection**




俺の短い返事から、宗太はいろいろと感じ取ったらしい。


フッと口元を緩めると、テーブルの上の灰皿とタバコを引き寄せた。



「ま、辛気臭い面(ツラ)見てるよりか、龍雅と喧嘩してる方がマシだ」



「喧嘩…じゃねえだろう…絡まれてんだよ」



喧嘩と言うか…一方的に絡まれてるとしか言いようがないんだけど……。


そんな俺の言葉に、一瞬笑いを堪えたような宗太だったが、気を取り戻したようにして口を開く。



「……あいつがお前に喧嘩ふっかけんのも、お前のらしくない顔見てて腹が立つらしいからなあ」



「……やっぱ隠し事はできねえな」



どうもこうも、この2人には太刀打ちできないらしい。


こいつらには、話しても大丈夫な気がした。


理由なんてないけれど、そう思ったんだ。



「まあ、話は戻るけど。ももは栗本の事、相当苦手らしいからな。なんて言うんだ?強気な所がナルシストっぽく見えるらしい」



「…は?」



「本人が言ってたから間違いないぞ〜」



「………。」



こ…こいつ………


俺にカマかけやがった。



ももの事を知っておきながら………本題は俺自身かよ!?


あ、ありえねー。



どうやら、ももを餌に俺を釣ったようだ。


絶対に俺が口を割らない事を理解した上で、ももの話題で気を紛らわせ、油断させた所で突然本題を突き付けた。

って所だろうか。



「あいつには悪いけど、好きになれそうにないし申し訳ないんだけど。だとさ」



「ふうーん…」



宗太には驚いたが、ももの気持ちを知って顔が緩みそうになるのを、無駄だったろうが必死で耐えた。
< 151 / 249 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop