**confection**
俺の短い返事から、宗太はいろいろと感じ取ったらしい。
フッと口元を緩めると、テーブルの上の灰皿とタバコを引き寄せた。
「ま、辛気臭い面(ツラ)見てるよりか、龍雅と喧嘩してる方がマシだ」
「喧嘩…じゃねえだろう…絡まれてんだよ」
喧嘩と言うか…一方的に絡まれてるとしか言いようがないんだけど……。
そんな俺の言葉に、一瞬笑いを堪えたような宗太だったが、気を取り戻したようにして口を開く。
「……あいつがお前に喧嘩ふっかけんのも、お前のらしくない顔見てて腹が立つらしいからなあ」
「……やっぱ隠し事はできねえな」
どうもこうも、この2人には太刀打ちできないらしい。
こいつらには、話しても大丈夫な気がした。
理由なんてないけれど、そう思ったんだ。
「まあ、話は戻るけど。ももは栗本の事、相当苦手らしいからな。なんて言うんだ?強気な所がナルシストっぽく見えるらしい」
「…は?」
「本人が言ってたから間違いないぞ〜」
「………。」
こ…こいつ………
俺にカマかけやがった。
ももの事を知っておきながら………本題は俺自身かよ!?
あ、ありえねー。
どうやら、ももを餌に俺を釣ったようだ。
絶対に俺が口を割らない事を理解した上で、ももの話題で気を紛らわせ、油断させた所で突然本題を突き付けた。
って所だろうか。
「あいつには悪いけど、好きになれそうにないし申し訳ないんだけど。だとさ」
「ふうーん…」
宗太には驚いたが、ももの気持ちを知って顔が緩みそうになるのを、無駄だったろうが必死で耐えた。