**confection**




サアー…と、全身から血の気が引いた。


頭の中には、「やっちまった」「ヤバい。マジでヤバい」が何度も何度も木霊する。


自分が歩いているか立ち止まっているかなんて、考えれなかった。



「びっくりしたじゃん〜!!」



「…え…あ…だな」



俺もびっくりしたじゃん。



声を潜め、小さく叫ぶようにももが声を絞り出す。


自分の浅はかな、突発的とも言うか衝動的な行動に、俺自身が一番驚いている。



「うわ!!なんで!?みんな一緒に覗いてるの!?」



「課外授業〜♪」



気が付けば、扉の前までやって来ていた。


頭一つ分ももが先に潜り込むと、途端に驚いた声に顔を上げた。


龍雅がいやらしく言って笑う中、俺には全員の顔がいやらしく見えた。


そんなみんなに対して、頬がピクピクと痙攣する。


今すぐ聞ける物なら聞いてみたい。



俺の行動、把握なんかしてなかったよな?


俺、まさかかなーりイケナイ事しちゃった感じ?




「早く戻らないと昼休み終わるぞ〜」




うん。

どうやらそうでもないらしい

と、思う事にしよう。



何なんだろう。こいつらの感覚は。


普通、こう言う時って、ももを質問責めにしねえか?



でも、1つ思う事がある。



ひょっとして、俺の事を考えての態度…なのかもしれない。


正直、ももから話を聞くのはキツいものがある。


だからなのかもしれない。


こいつらは、自分に置き換えて考えてくれる奴らだから。
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