伝えたいんだ
「へぇ、合コン行くんだ」
「!」
グイ、と後ろから首に腕が回って、ギュッ、と引っ張られるように包まれる。
匂いなれた、香りがした。
「わりぃけど、行かせねぇよ?」
耳元で囁くような甘い声は、私の耳に躊躇いなく入っていく。
あまりにも聞きなれた匂いと声に、
私の思考は一瞬、時を忘れたように止まった。
「――――っ笙、多兄ぃ、っ?」
隣にいたまひるは、私と後ろの笙多兄を目を交互に見つめ、動揺していた。
それもそのはずで。
まひるには、話していたから。
笙多、兄の、こと。
好きな気持ちを、
辛かった気持ちを、
話し、続けていたから…