伝えたいんだ


「笙多兄、痛い…よ」


「我慢しろ」


「何それっ横ぼっ、ふ――――」



唇に、軽く


触れる息、






触れる、





温もり。














「やめろよ」



「…え、?」


「『笙多兄』なんて、…っ呼ぶなッ――!」









「笙っ…多…に…?」











じゃあなんて呼べばいいの、



笙多兄ちゃん?
笙多くん?
里見さん?


笙、ちゃん…?






「お前に『笙多兄』なんて呼ばれたくない」








笙、にぃ…?






どうして


どうしてそんなに悲しそうな顔をするの




どうして、



なんとも思ってない私に、
キスなんて、するの







私は、もう妹としてすら、見てくれないんじゃ、ないの――?































「勘違いしてんな、バカ」










どくんっ















「名前で、ちゃんと、呼んで…。『笙多』って、頼むから、頼むから『笙多』って、呼べよ……!」





















ドクンッ、













止まるように静まっていた鼓動が、
再び激しく動き出す。
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