月の果て


「だって、ソフィは姫なんだろ?」

とトラキアは、ソフィの様子を伺うように見上げた。



「でも、敬語で話して欲しいなら最初から"姫"だと名乗っているわ」

とソフィは、哀しそうに言った。


トラキアは、何かを数秒間考えて



「だよな」

と立ち上がった。




「そうよ、」

とソフィは、トラキアに微笑んだ。



「ところで、スクルジア王国の姫って事は、ソフィが一週間ここに棲む事になってる姫なんだな?」


「ええ!そうなの、デカルト様はいつもあのような傲慢な方なのかしら?」

ソフィは、怒ったように腕を組んだ。



「デカルトが、傲慢?」

トラキアは、そう言ってキョトンとしてから豪快に笑い始めた。
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