何処にでもあるラブストーリー
僕らがメインの通りから外れると、途中のコンビニの前で、予備校生と思しき学生が、3人談笑をしながら、地面に座り込んで旨そうに缶ビールを飲んでいた。 なんだか楽しそうなんで彼らを見ていると、僕も、自然と少し笑ってしまった。 
着いた店は、階段をB1まで下りる和風の居酒屋だった。 ここはチェーンの居酒屋よりちょっと高いくらいの値段で、ちょっとしたお寿司も食べさせてくれる店だ。

照明を軽く落とした店内の入り口で、僕らは靴を脱ぎ、掘り炬燵のテーブル席に案内された。 

「雰囲気がいいですね・・・落ち着く感じ。」奈緒子がそう言って、黒っぽい皮製のショルダーバックを置きながら、座布団に腰を掛けた。 
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