【SR】メッセージ―今は遠き夏―

この先、どんな状況になっても、一人で生きていかなければならなくなったのだ。

幸い、会社は百夏のことを評価してくれており、給与面でも反映させてくれている。

一人で生活するのも、なんとか続けていけそうだと安堵の胸をなでおろした時には、母の死から3年ほど経過していた。


元々、面倒臭がりの性格も手伝い、父についてはいずれ機会が訪れた時に、戸籍でも紐解いてみれば何かわかるだろうと、次第に深く考えないようになっていった。

最近の百夏は恋人を作るのも煩わしく、このままの生活をずっと続けて行くのだと、漠然と行き先を見出していた。


それならばひたすら仕事に精を出し、いずれ分譲マンションを買うのもいい案だろう。

この頃、興味があることと言えばその程度だ。


バス停の横に貼りだしてある、マンションの広告が目に止まる。

まだまだ購入を実現できるほどの蓄えはない。

だが、目を肥やす訓練は、数をこなせばこなすほどいいのだと誰かが言っていた。


――もっとも、今それに目が向いたのは、単純に時間潰しの要素が大きいのだが。

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