オレンジヒーロー

私はクラスに帰るとすぐにドア側の1番後ろの端の席に座る。
話す子はいるけどどの仲良しグループにも属していない。
席につくと真ん中の一番前の席に寝ている人がいる。

佐伯さんだ。
あの席だったんだ。
転校してきた時も寝てたよなぁ…。
しばらく佐伯さんをみていると自分も眠くなりいつのまにか寝ていた。一時間目が始まっているのも知らず…。

「…や…土屋!!お前は転校早々言い度胸だな!!」

「へっ!?」

顔をあげると目の前には数学担当で生徒指導部の前田先生がいた。

「あとで指導室にこい」

「え…あ…はい…」

さっ最悪だー。
周りの人はクスクス笑っている。

「亜珠ちゃん!!起こしたのにー」

と前の席から美由の声が聞こえる。
美由は転校して初めて話した子だ。
背が高くて美人な美由。性格も結構好きなタイプだ。

「前田怖いんだよー」

「嘘ー…」

怒られるなんて初めてだ。
私は4時間目まで授業を終え1人で昼ご飯を食べた後
指導室へ向かった。

「座りなさい」

言われた通りに座る。
指導室は初めて入ったけど小汚ない。

「転校して三日目で寝るとはな。
俺の授業がつまらないか?」

「っあのっ引越しで忙しくて眠気がっ」

とっさに嘘をついた。
怒られるかな?とチラッと先生をみる。

「一回目だから許しておくが今度はゆるさないからな」

「はい…」

良かった…。
私は先生に続いて指導室をでる。

「あ、佐伯さん…」

「あんたやっぱどんくさいね」

「なっそんな事っ私が寝たのは佐伯さんがっ」

「私が何?」

眉をピクリとあげて聞く。
その顔は本当に怖い。

「やっ佐伯さんの寝てる姿みてたら眠くなっちゃって…」

「それ、アタシのせいじゃないじゃん?
つか指導室これたんだ」

「あっ先生が教室まできてくれたから…けど帰りどっちだろ…」

そうだ。私、校舎案内とかして貰ってないからなんにもわかんない…。

「アタシが、しだげようか校舎案内」

「え!?いいの!?」

「ま先生に頼まれただけだけど。
ほら早く。」

「え今から?」

「いや、まず教室かえれないんじゃないの?」

「あ…」
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop