今宵、月の照らす街で
対策室に入ると、真夜中にも関わらず、全スタッフが揃っていた。


「明奈さん、今日はお店での偵察だったみたいだね」


「確かに…」


明奈は唯一、赤いナイトドレスに身を包んでいた。


「揃ってるかしら?」


対策室に多香子が入ってくる。その後ろには、色黒の男と…


―――葉月…!


対策室がざわめき出す。


その中で多香子がパン、と手を叩くと、ざわめきは静けさに変わった。


「みんなお疲れ様。紹介するわ。本庁対策室所属の梅宮カオルくんと月宮葉月ちゃん。これから状況に応じて各隊と行動を共にするようになります」


紹介を受けた梅宮が、一歩前に出て口を開いた。


「半鬼の件で本庁から派遣されて来た。09年に確認されるまで半鬼の存在は230年程確認されていない。半鬼は呪術の一つで発生するが詳細不明。今まで報告された計4件の遺体の検死及び生前の共通点を…」


「さすが本庁。テキパキしてるね」


はるかは無関心なのか、他人事の様に梅宮の話を聞く。


―――マイペースだなぁ…


「…よってデータベース作製に当たり、政都宮内庁の皆さんの力を借りたい!」
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