今宵、月の照らす街で
桜は右手の護符を目の前の地面に投げる。


5枚の護符は互いに共鳴するようにして、地電流を走らせた。


「―――守式・表伍形[シュシキ・オモテゴギョウ]」


桜の蒼い瞳に、一筋の光が燈る。その先には、突撃を仕掛けるイプシロンの姿。


「無駄無駄無駄無駄無駄!!貴様が何をしようが殺す!!!」


イプシロンの姿が、護符のすぐ上に差し掛かる。


「蒼雷[ソウライ]」


護符から繰り出された雷の槍が、イプシロンの四肢を貫く。


「何ィィィッ!!?」


動きが止まった瞬間、桜は地面を蹴る。


そして、全ての波動を集中させた右足で、イプシロンの顔面を蹴り飛ばした。


イプシロンは、そのまま向かいのビルに突っ込む。


にも関わらず、何かが桜の脚に纏わり付く。


「捕まえたぜ」


「―――!!」
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