今宵、月の照らす街で
仮庁舎から離れ、日比谷公園。


『千鶴さん、皆さん』


トランシーバーに、あずさの声が入る。


「あずさ、無事?」


『はい。こちらには杏里さん、剣一郎くん、桜ちゃんに私、直仁くんと、彼の治療をしていた三澤くん、はるかちゃんがいます』


千鶴はトランシーバーの音量を上げ、全員に聞こえるように設定した。


「OK。直仁の治療はそっちに任せるわ。あと、現在の状況を把握したいの」


『はい。皆さんのケータイにメールを送ってあります。添付されたURLから、中部支部の衛星探知器のアクセス許可を得たので、タイムリーに把握出来るかと思います』


「出来るわね」


紘子が呟く。


「ありがとう。あと、全国の対策室にエマージェンシーを。それと京都本部の情報を出来るだけ集めて」


『了解しました』


「剣一郎」


『はいはい』


「あずさの護衛に命を懸けなさい」


『…了解!』


『千鶴さん』


あずさの声が続く。


『陰の波長が少し強いので、通常のトランシーバーでは心許ないかと。新しい物を用意しました。ランデブーポイントを霞ヶ関庁舎にしたいのですが…』


「わかった。じゃあそこに集合ね。散っているメンバーにも連絡して頂戴」


『了解です』
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