今宵、月の照らす街で
セラと結衣は、遠距離戦を繰り広げていた。


結衣の気が尽きない限り、止まない弾丸の雨。同じように、セラからも止まない陰の雨が放たれ、互いの力が、二人の中点でぶつかり合う。


結衣が隙を見て、術を仕掛ける。


「アイス・パラージュ」


座標をセラの足元にロックし、氷の槍を召喚する。セラはその槍を身体を翻し、再び攻撃に転じる。


陰の槍を放つ中、セラがその雨に身を隠すように間合いを詰める。


攻撃の弾幕に待避場所が見つからないまま、結衣は氷壁を目の前に展開する。


氷越しに映るセラの姿に銃口を向け、結衣は両手でマグナムを構えた。


槍が氷を貫き始める瞬間、結衣も目一杯の気を込めた弾丸を放った。


その反動で結衣の両手が跳ね上がったが、それに見合った程の大きな気の塊が氷を突き破り、セラを捕らえる。


「!!?」


予期せぬ攻撃が、セラに直撃する。


「く…!」


攻撃で後ろに押しやられたセラは、たまらず膝をついた。


「ち…力が入らない…何をしたの…?」


結衣はマグナムを降ろし、微笑む。


「水の気の特性は“浄化”。アナタの陰を浄化したの。もちろん、全力で打ったから…私ももう無理だけどね……」
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