今宵、月の照らす街で
多香子は眼を閉じ、天を見上げる。


終わりが見えなかった闘いが、今、幕を閉じた。


数百年の時の中、生まれた野望はやがて肥大し、今回の一件までに至った。


いずれ来る筈だったこの闘いが、自分の手によって終わりを迎えた事に、多香子は少し自分の運命を呪った。


正直、これから先のことは何も考えられなかった。


多香子は考えることを止め、自分の感情に素直になる。


頬には、綺麗に輝く雫が静かに流れていた。
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