今宵、月の照らす街で
「…以上が報告なんですけど………あのぉ……………どうでしょうか………?」


多香子が申し訳なさ気にディスプレイを眺める。


『つまり、お前達2つの家系の喧嘩が!!日本を目茶苦茶にしたと言うのか!!』


そのディスプレイから、音が割れながら怒号が響いてきた。


あの事件から一週間が過ぎた。


ここは、京都宮内庁対策室。


事の顛末や対策室の被害状況を内閣に全て報告している最中た。


あの事件で崩壊した東京政都23区と京都首都市行政区は着々と再建が進められているが、それに至る経緯は国民に明かされないままに一週間が過ぎていた。


だが、廉明の作り出した政都の陰の柱の影響もあり、霊的濃度が高かったが為に目撃者も後を絶たず、事件は心霊現象が起こしたものと言う報道が多く流れている。


その真意を知るのは、現在の所は多香子達政都宮内庁対策室スタッフのみ。全国に散る対策室は、廉明の手にかかって崩壊し、最悪のケースでは半鬼にすらされていた。


それ故、ある程度状況が落ち着いたと言う事もあって、多香子が内閣に説明を要求された訳だ。
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