今宵、月の照らす街で
政都宮内庁対策室近くの休憩所に連行される成二…。


「あの…明奈さん…」


自販機に向かう明奈は2回ボタンを押し、ホット缶コーヒーを2本、取り出す。


「せぇじ、斬るってどうだった?」


「え?」


明奈は缶コーヒーを渡し、そのまま成二の胸に、空いた左手を当てる。


「紘子が倒れたあと、なーんか変わったんだよね」


「うわっ」


その左手で軽く胸を押されて、よろめいてソファに転ぶ。


成二にまたがって、明奈は手に持つ缶コーヒーを首筋に当てた。


「熱っ…あ…明奈さん?」


熱が直接肌に触れ、反射的に首を反る。


「ふふ…慣れない事、いつまで続けるの?」


小悪魔な顔がすぐ触れる所まで来ている。


「斬る重みを知れ?立派だけど、慣れない事してたら、せぇじが死ぬよ?」


「…!」


その言葉のせいなのかはわからない。


しかし頭を廻るその言葉に、成二の首筋に塗られた熱が一気に感じなくなった。


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