父さんと僕
「え?」


 雄太と夫が似ているところなんてあるんだろうか。少し気が弱いところなんかそっくりかもしれないけど、夫は男らしい部分があるが、雄太は男らしくない。イジメられてるんだし。あぁ、あとは優しいところかな。似ているっていえば。


「私も昔はイジメられていたから、気持ちはわかるんだ。辛いよ、あれは。悔しいし、情けなくて、よく泣いたものだよ」


 知らなかったわ。そんなこと。


「あなたもそうだったのね」


 とても驚いた。だって、そんなこと初めて言ったんだもの。


「あぁ、だから私が話したほうがいいと思うんだ。経験者だしね」


 くくく、と夫は笑う。


「まぁ人生何とかなるものだよ。昔は散々だった私だけど、今はこうして立派―――とは言えないけれど、綺麗な妻に可愛い息子がいる。あいつだってやれるさ」
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