父さんと僕

7.天木雄太

 父さんと一緒に外食するなんて何ヶ月ぶりだろう。
 いつもは母さんがご飯を作ってくれるから、外食自体が久しぶりだし。


「父さん、なんでイジメられてたことを話すの?」


「うん?そうだなぁ――話したいからかな」


 きっと僕がイジメられているから話してくれるんだろうな、と思う。僕はイジメられてないって言ってしまったけど、父さんは気づいてるんだ。


 そりゃ気づくか。額の肉は消したけれど、僕の目は充血してるし、ところどころ痣がある。殴られてるってことはわかるはずだもんな…。


「殴られるのって痛いよな。身体も痛いけど、何より心が痛いよな」


 僕は返事をしなかった。けど、泣きそうになった。


「悔しくてさ、情けなくてさ、それでも誰にも頼れなくてさ。みじめなんだよなぁ」


 ――父さん、何が言いたいの。
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