父さんと僕
 私には愛する家族が二人いる。妻の千鶴に、息子の雄太だ。妻とは大学で知り合い、社会人になってから再会し、それから恋に落ちた仲だ。息子の雄太は言わずもがな――妻が腹を痛めて産んだ唯一の子供だ。


「イジメ――か」


 近頃イジメで自殺した少年についてのニュースが流れていた気がする。


「そうよ!どうしましょう――私の雄太に手をかける奴がいるなんて。代わってあげれたならどれほどいいか…!」


 妻は震えながら叫ぶ。妻は雄太のことを必死に守ってきた母親だ。それくらい思うのが当然なのだろう。しかし、今はそんなことはどうでもいい。


「落ち着け。とりあえず雄太と話してくる」


 まずは雄太の話を聞かないとダメだ。親だけの話など雄太の意志を無視することになる。それは雄太に失礼というものだ。


「私も…」
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