父さんと僕
 そんなことを言われたりもした。とても辛かった。意味がわからなかったけど辛かった。


『コイツの親も負け組なんだぜ――どうせ缶拾いとかしてるんだぜ?それか万引きー!ギャハハハ!』


 大好きな父さんと母さんを馬鹿にされてとても悔しかった。だから、そんなことはない、と叫んだ。けど、殴られた。それで黙ってしまった自分がとても情けなかった。


「くそぅ――」


 涙が止まらない。眼が真っ赤になって、むちゃくちゃ痛いのに、それでも涙は止まらない。


「おーい、雄太。父さん帰ってきたぞ」
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