涙の欠片

それから毎日のようにリュウは来てくれて、麗さんも翔平も来てくれた。

馬鹿みたいに騒ぎまくって、あたしを笑わせて笑うたびに傷口が痛かった。


だけど、やっぱし傷口を見ると嫌な思いでいっぱいになる。


10センチの切った後と斜め上にある1センチの傷痕が痛々しさを表す…。




そして、あたしは1週間後に退院し、処方された鉄剤の薬も毎日飲み、その後1週間は家で休んで身体も次第によくなっていた。


普通通りの生活を過ごし、あたしはまた学校へ行くようになった。


その日からリュウに毎日送り迎えをしてもらい、前と変わらずリュウのマンションにも泊まるようになってた。


だけど一緒に長くいる分、あたしの不安も次第に大きくなっていて…



麗さんの言った言葉すら何もかもあたしは忘れていた――…。


< 210 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop