涙の欠片
第二章−体温−
何分たったんだろうか。
リュウは何も言わずにずっとあたしを抱き締めてくれていた。
そんなに時間は経っていないはずなのに、あたしの中では凄く凄く長く感じた。
そっとあたしからリュウの身体を少し引き離すと「大丈夫か?」と、リュウが耳元で囁く。
「…うん。ごめんね」
そう言って完全にリュウの身体を引き離すと頭に鋭い痛みが走った。
フラッとする頭に手を当てて俯くあたしに「どうした?」とリュウはあたしの顔を覗き込む。
軽く首を振り、額に当てていた手を鞄に伸ばし、その中からミネラルウォーターを取り出した。
その鞄の中に散らばっている頭痛薬を5個取り出した時、リュウはあたしの腕を阻止した。
「飲むな」
「え?」
リュウに目を向けるとリュウは眉を寄せ手に握り締めている薬を奪い取り、ゴミ箱に向かって投げ捨てた。
「えっ、何すんの?」