涙の終りに ~my first love~
やりきれない気持ち
取り敢えずお互いお金を集めようという事でその日は別れた。
そのお金は二人で逃亡、それと中絶の二つの目的があった。
しかし後者の選択はありえない。
だが何か行動を起さないと何もしないでいる事は、
すなわち現実逃避と一番嫌な形で真子に思われてしまう。

オレは一人で悩んだ挙げ句、仲の良かった男友達の勝史に相談する事にした。
勝史は本当にいい奴だった。
ヤツは自分の事のように親身になってくれ、オレの部屋でどうすればいいのか何度も話し合った。
何度二人で話しても結論の出ないオレ達だったが
悩みぬいた勝史は「悩み事相談センター」なんかに女の声をマネて
「妊娠しちゃった」と電話してくれたりもした。

思い出せば笑い話だけど当時のオレと勝史は大真面目だった。
オレは必死に金策にも動き、同時に家出などしなくてもよい選択もさぐった。

しかし彼女の方はお金を集めるでもなく、あまり深刻な問題と捉えていない様子だった。

もうこの頃からははっきりと考え方の違いみたいなもの感じていた。

そして真子の理解に苦しむ行動も目立ち始めた。
他の男と二人きりでベランダに出て話してみたり、男の学ランを着て学校内を歩いたりとオレに対する挑発行為みたいな行動をとるようになった。
さすがに男の学ランを着ていた時は
「そんなカッコすんなよ」と注意したが別に悪びれた様子もなく、
「なんでそれぐらいで怒るの?」みたいな感じだった。

そんな理解に苦しむ日々を過ごしながらも、オレは毎日昼飯代を浮かせるなど苦労しながらお金を集めていた。

カンパも含め5万円ぐらい集まった時、真子に「いくら貯まった?」と聞いた。

すると驚いた事に彼女はお金など集めてはおらず、まさに人事他人事の様子だった。
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