赤りんご





放課後、私と亮太が帰ろうとすると、トイレにいた二人組が謝りに来た。



今日一日気まずくて、目も合わすことが出来なかった佐々木さんも、謝ってくれた。




「廣瀬さん、ごめんなさい…うちら、どうかしてたよ」



「もういいよ…大丈夫だから」



珍しく涙ぐむ姿を見ると、許してしまう自分がいた。



ちゃんと謝ってくれてるんだって分かった。



されたことは本当に怖かったし嫌だったけど、こうして謝ってくれるなら…。




「同じクラスだし、佐々木さんと気まずくなるのは嫌だから…それに二人ももう気にしないで」



ニコッと笑うと三人は何度も「ありがとう」と言い続けた。




「千明、フラれてからかなり落ち込んでて、まだ吹っ切れてないんだよ…うちらが止めてたら、こんなことにならなかったのに…ごめんなさい」



ずっと黙っていた亮太が口を開いた。



「アイツがこんなことしたのは、俺にも責任があるから…俺からちゃんと話す。ちゃんと話せば、アイツもこんなことしないと思うから…」



佐々木さんも「その方がいいかもしれない」と言った。



亮太の言葉なら、ちゃんと受け入れることが出来るだろうと。






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