赤りんご

図書館






―高校2年の春





新しいブレザー


新しい教室


新しいクラス





お父さんの転勤をきっかけに、この桜林学園にやって来た。






「廣瀬里衣です。よろしくお願いします。」




新しい家からも近く、大学までエスカレーター式なのでこの学校を選んだ。




成績があまり良くない私にとって、編入試験に合格したことは奇跡に近い。




みんなからの拍手に混じって、「ヨロシクね〜!」と前の座席の女子が言った。





「それじゃあ廣瀬さんは後ろの空いてる席に座ってて!」



「はい…」



女性の担任に言われて、席へ向かった。




クラスのみんなが私を見てる。




周りからの視線…



どう見られてるんだろう…。




転校を経験したのは今回が初めてで、どうしたらいいのか全く分からない。




まず、友達が出来るかどうか…



すっごく不安。





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