独眼狼ーワンアイウルフー



レクスの目の前に立つエディリアは……血まみれだった。


銀髪も血にまみれ、ところどころが赤色に変わり。

白く細い手足からも大量の血が溢れ、服を真紅に染める。

口の端から血を垂れ流すエディリアが、無表情のまま呟いた。


『お兄ちゃん。どうして私を助けてくれなかったの…?』
「ち、違…」


震える声を振り絞り、否定しようとしたレクスの言葉をエディリアが遮った。


『痛いよ、お兄ちゃん。ねぇ…私こんなに真っ赤になっちゃった』


エディリアが血で濡れた手をのばし、レクスの頬に触れる。

血が、レクスの頬をつたった。


「エディ…リ、ア…」


レクスはただ、妹の名を呼ぶ事しか出来ない。


『お兄ちゃんの嘘つき』


レクスが目を見開く。

エディリアが、胸元に下げたシルバーリングを握った。

シルバーリングはたちまち、血で真っ赤になる。


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