独眼狼ーワンアイウルフー
ベアの振り下ろした拳は狙いから少し擦れ、ゲンブの甲羅に直撃した。
今度の拳は弾かれなかった…が、ベアの渾身の力が込められた拳と、ゲンブの甲羅が反発し合った結果―……
黒蛇が貫通した部分から徐々に亀裂が入り、ベアの腕が…壊れ、そのまま地面に落ちた。
『っ!!く、くそっ』
タスクは小さく声を漏らし、ベアを後ろに退かせ…今まで掴んでいた黒蛇を離す。
ゲンブは解放された黒蛇と、ベアの腕が壊れた時に戻ってきた黒蛇を、定位置である頭の後ろ側に戻す。
アルバートが口笛を吹く。
『黒蛇を掴まれたのは初めてだ…予想以上に強いな、祐』
タスクは舌打ちを漏らすだけで、何も言わない。
『さて、どーするかなー…ん?』
アルバートの言葉が途中で止まった。
誰かから通信が入ったのか、何度か相槌を打って通信が終わった。
はーっと分かりやすく溜め息を吐き、アルバートが口を開く。
『残念だ。退却命令が出たんでね…今日はここまでだ』
タスクが目を見開く。
『な、何でだ!!?』
『さぁな〜。でも、上司命令は絶対なんでね』
アルバートはまたな、と呟きゲンブがベアに背を向け…地響きを起こしながら歩き出した。