中曽根工業高校
……ちぃが直人の事、別に好きではないことは知っていた。

ちぃには好きな人がいる。


以前、合宿のとき言っていた。同じ中学の男子らしい。


中学の卒業式で告白して、フラれたけど……今でも好きらしい。



ちぃが漫画家になりたいと言っていたことも。"男の子かくの苦手だったけど、高校入ってから、描きやすくなった~"

と言っていたので、直人はただのモデルとしてしか見ていなかったのだろう。

(まぁ……直人は、あんま気分よくないだろうけど………)

しかし、一体誰があんなイタズラ書きをしたのだろう。


「……おっす」

後ろのドアから教室に入ると、1限の数学教諭が何事もなかったかのように授業していた。

「あっ…ヒノケン!どうだった?」

一番後ろの席のキノが声をかけてきた。

「どうだったって…イタッ」

キノの方に近付こうとしたら、足に何か当たった。

「なにこれ……?」


ヒノケンの足元には生徒の使うイスが置かれていた。
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