中曽根工業高校
しかも……何か、ヨレている感じだ。

「それ…直人が黒板に投げつけたんだよ」

キノはぼそっと耳打ち。

「え………?」

そう言われて黒板に目をやると、真ん中の方が少しヘコんでいる。

その上から書かれた公式もへコんで見えた。

「なんで………?」

「お前、鳴海…保健室運んだろ?」

「うん…なんで知ってんの?」

確かに、一騒動あったけれど……あれは、ちぃのクラスでの出来事だ。

「すげー騒ぎだったもん。そのとき鳴海のクラスの落書き見たろ?」

「……ああ」

「それと同じのがうちのクラスにも書かれてたの」

キノは黒板を指差した。

「はっ?!」

ヒノケンは思わず黒板を凝視したが、痕跡はもうなかった。

「もう消されたって」

キノは思わずつっこんだ。

「何で?!全部の教室に??」

「いや…鳴海のクラスと俺らのクラスだけ。でもすごい騒ぎだったから…他のクラスの奴もみんな知ってるよ」

「何でうちのクラス?」

ちぃのクラスならともかく、自分のクラスは関係がないだろうと思った。

「直人がいるからだろ。彼女、直人が好きみたいだし」

「別にあいつは、本当に直人が好きな訳じゃ…」

思わず本音を言いかけて止めた。
< 112 / 249 >

この作品をシェア

pagetop