指切りげんまん
不躾に部屋を見渡す。
今はもう見なくなりつつある日本家屋はとても目に新しく映った。

「古臭い家でしょう?」

「そんなことないですよ…とても素敵です」


七瀬の横に座る水守のお兄さんそして笑う七瀬、その光景が自然なものなのだろうに。


一体、何処から歪んでしまったのだろう。


「お兄ちゃん…」

南の壁の襖が開いた。
中から土気色の顔をした男が出てくる。


「凪、寝とけ!」

叱咤し、細い体を支える水守。
土気色の肌はとても健康そうには見えない。


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