指切りげんまん
「迅の弟の凪君です…一年程前から体調を壊して、今では…」

うつむく七瀬。

佑が久し振りに口を開いた。

「医者はなんて言ってるんだ?」

関わりが無かったので忘れていた。
この村には医者と一人の助手が派遣されている。


「…診て、もらえませんでした」

「え?」


「俺達は人間じゃないらしいからな、診ないそうだ」

客に失礼だからと起きようとした弟を無理矢理寝かせた迅が話に加わる。

もう諦めたような、泣き笑いと声。


「情けなくないのか…?」



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